国立天文台 三鷹キャンパスの施設を見学

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国立天文台 三鷹キャンパス

平成20年10月25日に開催された国立天文台三鷹キャンパスのレポートを続けます。先ほどのすばる望遠鏡が設置されているハワイ観測所との間でテレビ中継が実施された解析研究棟をあとにして、さらに構内を右回りで施設を巡っていきます。

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重力波実験棟「TAMA300」

次に行ったのが重力波実験棟「TAMA300」という施設です。この重力波という言葉自体、あまり聞き覚えがありません。ネットで調べてみると、wikipediaに「重力波とは、一般相対性理論において予言される物理現象の一つであり、時空の曲率(ゆがみ)の時間変動が波動として光速で伝播する現象である。」と書かれています。なんだか、時空の曲率(ゆがみ)とか聞いていると、SF小説を連想してしまいます。

アインシュタインが一般相対性理論を発表した二年後にこの重力波に関する発表をしているようなのですが、残念ながらその存在を未だに観測されたことがありません。そしてこの重力波を観測しようという試みをしているのが、このTAMA300という施設ということになります。

Wikipediaにも「日本は、国立天文台にあるTAMA300で、一辺が300mの干渉計を稼働させている。これは、世界に先駆けて最初に本格的な観測を開始した。」と書かれています。この施設は干渉型検出器という方式を採用されています。強力なレーザー光を2つのレーザーに分けて、一辺が300メートルのアームを往復させます。そして、戻ってきたレーザー光を干渉させて、干渉縞の変化から検出をしようという方式なのだそうです。施設の中で簡単な装置を使って原理を説明してくれていました。

そして、このTAMA300のトンネルの中を見てみます。写真を撮っておきました。

TAMA300 重力波検出装置

ひたすら奥の方へとトンネルは続いています。このトンネルがあるところの地上の部分もあわせて見てみたのですが、地上から掘り下げて施設を作成した後に蓋をしたような感じで作られているようです。

太陽フレア望遠鏡

続いて、次の施設へと向かいます。今度は太陽フレア望遠鏡という施設がありました。こちらも太陽が顔をのぞかせていないので今日は観測が出来ないようです。

太陽フレア望遠鏡

さらに歩いていくと、なんだか芝生の真ん中が少し掘り下げられていて、何かの観測設備があるような広場に出ました。

 

国立天文台の中の広場

自動電子午環

その先には自動光電子午環という設備が見えてきます。1982年に建設された施設です。

自動光電子午環

そして、こちらがゴーチェ子午環という施設です。

ゴーチェ子午環

天文台歴史館

そして今度は天文台歴史館になります。日本一の屈折望遠鏡である65センチ屈折望遠鏡が収容されているほか、天文台の歴史が判る展示品が展示されています。建物自体は大正15年に出来ました。地面からの高さが19.5メートル、そしてドームの直径が15メートルもある巨大な建築物になります。
天文台歴史館

この天文台歴史館には、

・明治期最古の望遠鏡
・65cm屈折望遠鏡操作盤
・65cm屈折望遠鏡交流・直流変換モーター
・65cm屈折望遠鏡
・65cm屈折望遠鏡紹介映像
・国立天文台の歴史
・天文計算方法の移り変わり
・PAONETパソコン
・観測と発見の歴史パネル
・三鷹キャンパス写真パネル
・すばる望遠鏡写真パネル
・天体紹介パソコン
・写真乾板
・万能投影機
・ブリンクコンパレーター

などが展示されています。

アインシュタイン塔

それからアインシュタイン塔になります。昭和5年に当時の東京天文台構内に設置されました。建物の高さは18.6メートル、地上5階地下一階建てになっています。塔の内部は吹き抜けになっていて鉄骨のやぐらが立っています。

なぜアインシュタイン塔という名前が付いているのかというと、一般相対性理論に基づいて、太陽の重力により光のスペクトルがわずかに長くなる現象(いわゆるアインシュタイン効果)を検出するために作成されました。しかし、残念なことにこの施設でアインシュタイン効果を検出することは出来ませんでした。Wikipediaによれば、第二次世界大戦後には太陽の磁場の観測や太陽フレアの観測で大きな成果をあげてきたそうです。

以前の特別公開の際には、建物の中にまで入ることが出来たと思ったのですが、今回の特別公開では建物に近づくことさえ出来なくなってしまいました。現地にいた人の解説によれば、この建築スタイル自体が非常に特徴的なので、建築学を専攻する方もよくこの施設を見学にくるのだそうです。1998年7月には「国登録有形文化財」に指定されています。

アインシュタイン塔 国立天文台

今回は全体の施設を3時間くらいかけて見て回りました。なかなか面白かったです。

【2020/09/27追記】

三鷹市星と森と絵本の家

国立天文台三鷹キャンパスの構内に、大正時代の建物(国立天文台旧1号官舎)を活用した三鷹市星と森と絵本の家があります。2009年にオープンしました。

読書室には、ほし・もり・ちきゅうといったテーマごとに分類された絵本が常時約2500冊並んでいます。これらの本は定期的に入れ替えられているそうです。

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