ハイブリッド車の静か過ぎる危険

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トヨタのプリウス

 ハイブリッド車は停車時にはアイドリングストップして発信時、および低速走行時にはエンジンはそのままストップし電気とモーターの力だけで動いている場合があります。このときは、非常に走行音が静か(トヨタのプリウスではエンジン車よりも最大で20デジベル低い)なので、視覚障害者や子ども、高齢者にとってはクルマが近づいてきたことに気が付かずに事故にあってしまう危険があります。

 ハイブリッド車は低燃費でCO2などの排出量が少なく、かつ低騒音ということ自体が調書だったわけですが、この低騒音が裏目に出た形になります。ちなみにホンダのインサイトについては同じハイブリッドであっても実装の方式が違うので低速走行時にも必ずエンジンが回ります。したがって、プリウスのような課題はあまり問題にならないようです。(どのメーカーでも今のところはハイブリッド車の静音性を起因にした事故の発生は確認できていないようです)

 これを改善するために国土交通省では、ハイブリッド車が低騒音で走行しているときに警笛よりも小さな音で危険を知らせる装置を搭載する検討を始めたことを朝日新聞で記事にしていました。実際にトヨタ自動車の調査でも、ハイブリッド車を運転している人の感想として、自動車を発進しようとしているのに車の目の前で立ち話をしている人がどいてくれなかったり、駐車場で遊んでいることもが気が付かないといったものがあったそうです。

 このようなときに、クラクションを鳴らすことはあまりしたくないので、それに変わる何らかの仕組みが必要なことは確かに理解できるものがあります。そんなこともあって、運転者のうち7割が何らかの発音装置が必要と考えているそうです。日本は特に狭い路地や人の多い商店街の中などを徐行しながら走らなければいけないことも多く、このハイブリッドカーの課題については切実なものなのだと思います。神戸新聞によれば各メーカーに対して「ハイブリッド車が近づいてきたことが判らなかった」等の相談はここ3、4年で既に60件あまり寄せられているそうです。

 トヨタでは2007年に走行中のチャイム音を鳴らす実験をした実績もあるそうです。しかし逆に不快と感じる人の意見も多かったようです。特急列車などで警笛ではなくチャイム音を鳴らしながら走っている列車がありますが、あんなイメージなのでしょうか。記事によれば第二のクラクションを実装する方式と常時音を鳴らし続ける方式の2案で検討を進めるそうです。第二のクラクションを鳴らす方式では運転手の鳴らし忘れによる事故発生の懸念があるようで、あえて第二案も並行して検討するのだそうです。そして、付加する音の種類ですが、チャイム、ブザー、メロディー、擬似エンジン音などが候補として上がっているそうです。そして、年内に基準の方向性を策定する方向で国土交通省は考えています。

 国土交通省のホームページを確認してみたところ、たしかに「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」という委員会が立ち上がっているようです。ここに出ている委員の顔ぶれを見てみると、大学の教授、自動車工業会、日本自動車連盟、日本自動車部品工業会などの人が集まって議論を進めているようです。常時、、音を鳴らすのか否か以外に、義務にするのか任意にするのかといった検討課題もあがっていました。(http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk7_000002.html)

 せっかく低騒音で静かに走っている自動車にあえて音を出す装置を付けるというのは勿体無い感じもしますが、安全を優先しなければいけないことは間違えないことなので、仕方がないことなのでしょう。ハイブリッド車の場合は高速で走る際にはエンジンも回転して通常のクルマと騒音のレベルも近づくので、高速走行時にあえて音を発生させる仕組みを稼動させる必要は無いと思いますが、問題はこれから実用化が本格化する電気自動車がどうなるかが気になります。高速道路などで色々な音を出しながら電気自動車が走るようになったら、それこそ頭が痛くなりそうなので、この「音」の分野の研究も今後活発になるのではないでしょうか。

【2010/09/28追記】

 ハイブリッド車に後付けで疑似エンジン音を出すための装置が楽天市場のイエローハットで売られていました。

 どんな音がするのか聞いてみたいです。そう思って調べてみると、この商品の発売元の会社で音声を公開していました。

 ★ミツバサンコーワ

 確かにエンジン音のような感じです。

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