千円カットに洗髪設備は必要?

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 千円で髪の毛をカットすることが出来るいわゆる千円カットが人気です。髪の毛をカットすることのみに絞って、従来の床屋さんがやっているような洗髪などのサービスを省略して一人当たりの作業時間を短くして回転率をよくすることで、極限まで値段を下げました。

 その千円カットにカット専門店に対して洗髪設備を設置するように条例で義務づける動きが広がっていることが読売新聞で報じられていました。すでに条例を制定したのは19道県にも及ぶそうです。「髪を洗わないのは不衛生」という理由だからだそうです。現在の千円カットでは髪の毛の切れ端などは吸引器で吸い込んで処理をしていますが、洗髪と比較すると細かい切れ端が残ってしまう欠点があります。


 この不衛生と言っているのが消費者側からの声ならば良いと思うのですが、実は理容生活衛生同業組合等の既存店が加盟する団体から県に陳情されていることが気になります。県では「一般に意見を募り義務化賛成が多数を占めたため提案に踏み切った」としていますが、どんな形で意見の募集を行ったのでしょうか。ホームページでパブリックコメントの募集をしただけであるとすれば、なかなか一般の声は集まらないかもしれません。

 群馬県が実施したアンケート調査結果がこちら(群馬県 – 暮らし – 【理容美容】理美容所の洗髪設備に関する県民アンケート調査結果)で公表されていました。このアンケート結果を見る限り、ごく普通の声が集まっているように見えますが、このアンケート結果で洗髪設備を義務化することの裏付けになるとは到底思えません。

 当然、千円カットで洗髪をすれば、一人あたりのサービスにかかる時間が現状よりも延びてしまいます。労務費と設備の償却費がコストの大半に見えるカット業界で、もしも洗髪設備を整えるとともにサービスにかかる時間が倍になれば1000円が2000円になってもおかしくないような気がします。既存業者にすれば、1000円カットの値上げにより価格競争力が失われて、またお客さんが既存店に戻ってくることを期待しているのでしょう。

 読売新聞では千葉県の事例をあげています。千葉県では消毒状況の点検を実施して、「カット専門店と既存店に衛生管理上の違いはない」と条例化を見送ったそうです。きわめて冷静な判断だと思います。逆に条例を設けている県については何故条例化したのかについて具体的に公表しなければいけないのではないかと思います。

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