ブルー・オーシャン戦略

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ブルーオーシャン戦略

既存の市場で熾烈な企業間の競争を繰り広げるのがレッドオーシャン戦略、競争のない市場空間を新たに生み出して競争自体を無意味にしてしまうのがブルーオーシャン戦略、そのブルーオーシャン戦略をどうすればうまく実行できるのかを解説したのかが本書になります。

どんな企業がこのブルーオーシャン戦略で成功しているのか、冒頭ではシルク・ドゥ・ソレイユが事例としてあげられていました。

シルク・ドゥ・ソレイユは1984年にカナダで設立したエンターテイメント集団および管理する会社の名称です。ショーのスタイルとしてはサーカスの伝統様式を取り入れているものの、動物などを登場させる従来のサーカスとは違い、あくまでも演者としての人間にスポットライトをあてており、その芸術性の高さから世界中で人気を得ています。大道芸、サーカス、オペラ、ロックなどの要素を取り入れており、従来のサーカスとはターゲットにしている客層すら異なる作品になっています。

もし従来の伝統的なサーカスだけにこだわっていると、狭い客層の中で他のサーカス団との戦いになってしまいますが、新しい客層に向けた公演をすることで、競争のない市場を作り出しました。

ただ、競争はそんなに甘いものではないと感じたのは、シルク・ドゥ・ソレイユ常設劇場の日本進出です。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが浦安市の舞浜駅近くに専用劇場を建築してZedの公演を2008年10月から開始しました。

しかし思っていたよりも客足が伸びずに、それに2011年の東日本大震災が追い打ちをかけてしまい、結局、2011年12月末をもって公演が終了しました。その後、専用劇場も無くなっています。

ブルーオーシャンを見つけて軌道にのったとしても、同じ戦略でどの国でも通用するものではないのかもしれません。

書籍の中では、既存のビジネスをしているレッドオーシャンから、新しいブルーオーシャンを見つけるために、四つのアクションをすることを推奨しています。

・減らす
・取り除く
・増やす
・付け加える

これをみて、日本における事例として、中古車買取のガリバーを思い出しました。

従来の中古車販売業は、顧客から中古車を買い取ったあと整備などをして、そして別の顧客へ買った時よりも高い価格で販売することで、利益を得ています。

ところがガリバーはこの一連のサイクルの中から顧客から中古車を買い取ることだけに商売を特化させました。これで商売が成り立つようになったのは、中古車のオークション市場が整備されたことです。ガリバーは顧客から買い取ったクルマをオークションにかけて他の中古車販売業者などに販売します。自分で直接顧客に販売するよりも利幅へ減るのですが、中古車の展示場を作ったり在庫リスクを抱えたりするようなことが減ったことが大きなメリットになりました。

書籍の中ではブルーオーシャン戦略を実践している企業として、サウスウエスト航空、docomoのiモード、QBハウスなどが紹介されていました。

Docomoのiモードについてはまだ携帯電話の機能が限られていて通信回線もまだ速く無い頃には絶大な強さを持っていました。ところが、AppleのiPhoneが日本でも発売された頃からiモードが徐々に使われなくなっていきました。AppleのiPhoneをはじめとして、あとから発売されたAndroidを搭載する各種スマホではiモードという特別な規格を使うことなく、パソコンと同じようにインターネットに簡単に接続できる環境を整えてしまいました。スマホの液晶画面が大きくなって通信回線も速くなったことが大きな要因なのでしょう。

このようにいったんブルーオーシャンを見つけて儲かったとしても、それは未来永劫続くものではありません。ただ、常にブルーオーシャンを見つけていこうとする努力や発想そのものが大切なのでしょう。

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