PSE法、ビンテージ楽器は例外?

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 電気用品安全法(PSE法)の猶予期間が切れることで、PSEマークの付いていない色々な中古電気用品がこの4月から発売できなくなることが多方面で問題になっていますが、これを受けて、経済産業省は、「ビンテージ物のアンプなど希少価値の高い電子楽器などを同法の例外としてPSEマーク無しでも簡単な手続きで売買可能にする」と発表しました。

 例外として対象になっているものは、電子楽器、音響機器と写真焼き付け機、写真引き伸ばし機、写真引き伸ばし用ランプハウス、映写機だそうです。例外申請の方法や審査基準の詳細はこれから詰めると発表されています。

 しかし、本来は電気用品を安全に使うために制定されたはずの法律なのに、一部の商品だけ、例外扱いにするというのは、この法律の主旨に反しているとしか思えません。なぜ上記の製品だけを例外の対象にしたのか、その決定の経緯は記事からはよく判りませんが、猶予期間が切れる前月にバタバタと対応するのではなく、猶予期間そのものを伸ばしてじっくりと業界や国民の声を聞いて制度そのものを見直す必要があるような気がしてならないと思いました。

ITmedia News:PSE法、ビンテージ楽器は「例外」に

 また、今日の夕刊にはハードオフ社長のインタビュー記事が載っていました。ハードオフほどの会社でも昨秋まで「PSE法は中古品には関係ない」と思っていたそうです。いかに経済産業省の周知が不足していたかがわかる話です。ハードオフではPSEマークのない商品を既に特売で半分近くは売ってしまったようです。


 この記事でもう一つ興味深かったのは、ブックオフとハードオフは実は資本関係が無いそうです。元々は音響機器の小売店を経営していたそうですが、その経営に行き詰まってしまって悩んでいたときに、ブックオフの社長に相談したのが始まりのようです。ブックオフが好調でハード分野に手を出したと勝手に思っていたのですが、少し意外な始まりだったので驚きました。

(2006/03/15追記)

 今回の発表はやはりその後も色々な報道が相次いでいます。たとえば、ITmediaのニュースでは、またハードオフの話しがのっていて、ビンテージものの高級品を安値で処分したあとでこんな発表をされても困るという意見が載っていました。経済産業省は当初は「正直者がばかをみないということも大事」という発言も受けて、ビンテージものの中古品を売り急いでいたようです。

ITmedia News:PSE法、「ビンテージ品のみ除外」に困惑する中古業者 (1/2)

 他にも秋葉原の中古楽器店ではすでに事業の大幅縮小を決めて作業に取りかかってしまっていたので、今回の経済産業省の発表を受けたからといって、もう元には戻れないという話しものっていました。やはり猶予期間の延期をして、法律自体を徹底的に見直すしか無いような気がします。

(2006/03/21追記)

 ニュースを見ていると、二階経産相が「このままでいく。最後の追い込みで努力してもらう」という発言をしているようです。既にビンテージ楽器の扱いを改めたりして、法律として歪みが発生してきているのに、未だに猶予期間を今月末で打ち切る方向で考えているようです。

 一方で3月15日に7万5千名弱の署名とともに要望書を提出した日本シンセサイザー・プログラマー協会ですが、こちらの公式サイトには要望書を提出した以降の新しいコメントは発表されていませんでした。ビンテージ楽器などの取り扱い方法を変えたことを受けてどんな感想を持っているのか知りたいところでした。

 引き続き、この法律の行方については注目しています。

(2006/03/31追記)

 その後、経済産業省からは約2000品目の製品が載ったビンテージ製品の一覧が公開されました。この一覧については、ITmediaに「ここが変だよ、“国家認定ビンテージ”」という記事が掲載されました。

ITmedia News:ここが変だよ、“国家認定ビンテージ”

 この一覧には電源が搭載されていない製品が載っていたり、社名が間違っていたり、収録ブランドや機器が偏っていたり、機種名がダブっていたり、かなり一覧表としての品質が悪いようです。ネット上では波乱をよんでいるようですが、今後はこの一覧の品質向上が行われるのではないかと記事には書かれています。
 

コメント

  1. タロットセラピーで成長しました より:

    ルールの正しさに絶対的は無い~PSE法

    ルールの正しさに絶対的は無い中古楽器愛好者の間で議論となっていたPSE法、アナログシンセ等は「ビンテージ物」として適用対象外となる道が作られる…

  2. かきなぐりプレス より:

    坂本龍一効果?ビンテージは対象外

    いってみるもんだね。
    坂本龍一教授効果で、中古家電販売でPSEマークがなくても販売ができる品目にビンテージモノの楽器やオーディオが加わった。

  3. 「PSE法、希少楽器に救いの手」とはいうが・・・

    ビンテージ楽器以外にも一応例外措置はありますが、まだまだ色々問題がありそうです。
    音楽に限らず、中古業者全体の悲鳴を聞くと、PSE法が何のためにある…