家電業界が「さらにお安く」という値札を禁止する

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コジマ

 よく家電量販店に行って商品を見ていると、値札にメーカー希望小売価格に斜線が引かれ、さらに値引き後の価格にも斜線を引き、「さらに値引きします」という表示が行われているところがあります。昨日、新聞チラシで入ってきたコジマの広告を見てみると、ここにも値引き後の価格の下に「更にお安くします!」という表示が付いている商品が複数ありました。価格競争が激しいデジタル家電(薄型テレビやDVDレコーダーなど)にこの表示が目立つようです。

 なぜ、このような価格の表示の仕方をするのか、今までよく判らなかったのですが、朝日新聞の記事の中にこの謎を解き明かしてくれる記事がありました。

 「ライバルとの間で、単純な安売り競争になるのを避けたいとの思惑がある」というのです。はっきりと値引き後の価格を表示すると、「コジマ、ヤマダさんよりも必ず3%は安くします」といった広告を出している家電量販店がさらなる値引きをします。すると、そちらに客が流れてしまうため、コジマなども値下げを余儀なくされてしまいます。

 これを防ぐために、ある程度の値引き額を表示しておいて、「さらにお安くします」としておけば、対抗店が安値を提示しても、店員との値引き交渉での値下げ余地分があるので、際限ない価格争いからは脱却できることになります。

 しかし、「さらにお安くします」の表示は、消費者から見ると、判りにくい価格表示であることには間違えありません。実際に消費者からは「チラシに斜線が入っていて比較が出来ない」とか「店員に尋ねるのが煩わしい」といった批判が出ています。

 確かに家電量販店で店員に価格交渉をしてしまうと、店員は積極的に値下げ後の価格を提示してきて何とかその客に商品を買わせようとあの手、この手で攻めてくるので、他店と価格を比較する前にそのお店で商品を購入せざるを得なくなる可能性が増えてきます。この価格の表示方法については、公正取引委員会も「明瞭性を欠き、望ましくない」と指摘をしています。

 これを受け、家電メーカーや家電量販店の業界団体「全国家庭電気製品公正取引協議会」が規約を改正して、この表示の仕方を自粛する方針を固めました。7月の総会で決定する方向で動いています。

 もしも、7月の総会でこの自粛方針が決定すれば、夏には斜線入り「さらにお安くします」という価格表示は見られなくなるものと思われます。

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