「はじめての課長の教科書」酒井穣著

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はじめての課長の教科書

 欧米諸国とは違う日本の会社の仕組みの中で、課長とは何を求められているのかを具体的に解説している書籍です。全般的に書かれていることは納得できるところが多かったです。たとえば、課長は情報伝達のキーパーソン、課長の元気な企業は強いなどの記載はまったくその通りだと思います。反面、一部、これはどうなのかと思うような記載がいくつかありました。

 例えば、「課長は部下の失敗をそのまま部長や経営者に伝えてはいけない」というところなのですが、少し説明が不足しているように思いました。

 課長以下で十分な対応ができないリスクがある問題は速やかに上位に上げるべきだと思います。もちろん、誰が失敗したのかなどを上げる必要はありません。失敗は課長を筆頭としたチームの責任としてとらえるべきです。今の書籍の記載のままでは、どちらかというと課長以下で隠ぺいを推奨しているようにも読めてしまうので、何はエスカレーションすべきかも記載すべきだと感じました。

 ほかには、課長が部長のポストを狙うにはどうしたら良いのかという解説があるのですが、「自分の課を成長させて部に昇格させる」という方法は良いとして、それ以外に「部長の定年後のポストを狙う」、「花形部署に社内異動する」などの方法が書かれていました。

 やはり、「部長になるために何かをやる」という動機では何かが歪んできてしまうのではないかと思います。今、課長として自分がまかされている事業をどう伸ばすのかを主体的に考え行動し結果を出すという営みを繰り返していくことで、初めて昇進の道も開かれるのではないでしょうか。

 また、「昇進をあきらめる」という選択肢を取れば自由な発想で仕事ができるようになり思わぬ高業績を上げる可能性があるという記載もあるのですが、そもそも「昇進のために何かをやる」という動機を捨てた方が良いと思います。

 自分が今携わっている事業で最高の結果が出るようにチームで頑張り結果を出すというただ一点に焦点を絞った方が良いのではないでしょうか。

 社員だったときと課長という立場になったときで、今までの考え方などを改めなければいけません。中間管理職はナレッジエンジニアであるという著者の主張はまったくそのとおりであり、各自が心の準備をしておく上で、参考になる書籍だと思いました。

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