アップル社の主軸をサービス業に転換できるか

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アップル社は2018年の8月に株式の時価総額が1兆ドルを超えました。しかし、2018年末になり売上高の見通しを下方修正することを明らかにして、投資家へ動揺が広がり、米国の株価へ深刻な影響を与えました。中にはアップルショックと報じるマスコミまであったほどです。

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米Apple社の株価下落

年末年始にはこのまま米国の景気が急速に減速して、株式市場も売りに売りが重なり大きな下落につながるのではないかという見方もありました。中国との貿易摩擦などがクローズアップされていたためです。しかし、幸いなことに新年になってから米国の株価は上昇しました。

日本でも米国市場の動揺をまともに受けて年始早々には大きく日経平均は値を下げて、1月7日は値を上げるという極端な値動きをしています。

Apple社と事業の内容

アップル社はもともとはパソコンの販売から始まり、音楽プレーヤーのiPod、電話との合体を図ったiPhone、タブレット分野に進出したiPad、スマートデバイスのapple Watchなど次々に新しい商品を発売してきました。

主に新しいハードウエアを販売してきただけのようにも見えますが、例えばiTunesのようにサービス、ソフトウエアの分野でも創造的なヒット作もあります。それまで、MP3などの音楽の電子データは著作権的な問題をクリアーできていないイメージが強く、どちらかというとダークな雰囲気が漂っていました。ところがiTunesというサービスができて正規に音楽コンテンツを購入することができるようになり、iPodというハードで手軽に聞けるようになったことが、iPodの大ヒットの要因だったのではないかと思います。それまで、MP3音楽プレーヤーというハードの販売だけに頼っていたアップル以外の会社は駆逐されてしまった感があります。

Appleのサービス事業

また、iPhoneの販売にあたっては、AppStoreを作って、Appleの審査を通ったアプリであれば、Apple以外の人が自由に提供、販売できるという仕組みを作ったことも大きなサービスの創造でした。インターネット上で公開されているアプリの中には、マルウエアなどに汚染されたものもあるので、なんでもインストールできるようにすることは危険が伴います。これに対して、AppStoreという安心してアプリをダウンロードできる場があることは、ITに詳しくない人でも安心して利用することができます。

ただ、最近になってからはサービスという面では、目新しいものは最近出てきていないようにも思えます。Apple Musicも他社が実施していたサービスの後追いのような形になってしまっていますし、地図サービスに関しても機能面で他社に後れをとっています。

現在はどちらかと言えば、アップル社はハードウェア面に頼った成長を続けてる感じが強いので、中国系企業が安くてデザイン性も高いスマホなどで勢力を増すにつれて、まさにiPodでブームを作ったときと逆の状況にアップル社は追い込まれているように見えます。単にハードウェアのみでの成長に限界が来ているというWIREDの記事はその通りだと思いました。

アップルの戦略は次の段階へと進み、サーヴィス企業としての未来を模索している
アップルが「iPhone」の販売台数が伸び悩んだことで、業績見通しを下方修正した。だからといって、アップルに「未来はない」と判断するのは早計だ。アップルはハードウェア企業であることの限界を理解し、次なる段階へと進もうとしている、

12月27日付の読売新聞には、アップルが全米で人財確保を進めていることが記事になっていました。ブランド力を維持する製品開発、動画配信向けのソフト開発、利便性を高めるための人工知能の研究の3本柱で人財をとっているようです。アップルとしては収益が伸びているアプリ販売や音楽配信を柱としたサービス事業の強化を実施中という記載もあり、特に映像分野の人財確保やサービス開発を進めるとしています。

すぐに思いつくようなサービスは既に各社が展開していますので、新しいサービスの創造というのは難しいことなのだと思います。普段、人々が不便だと判っているけれども、その不便が当たり前だと思っているようなことに、新たなサービスの芽があるのかもしれません。

AIやIOTに関しても昨年前半あたりまでは随所で聞こえてきましたが、少しずつ、それらの技術を使って何をするのかという方に話題が移ってきている気がします。iPodやiPhoneなども特に真新しい技術を使ってできあがったものではなく、既に存在していた技術を組み合わせてできたデバイスです。真新しい技術をどう使うかというプロダクトアウト的な発想よりも、プロダクトイン的な発想が良いのかもしれません。

ただ、スティーブジョブズの言葉に「ただお客さんの望みを聞いて、それを与えようとしてはいけない。望みどおりのものを作る頃には、お客さんは別の新しいものを欲しがるだろう」とあるように、単なる御用聞きでもいけないところが難しいところです。

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