老後に2000万円の資金が不足する発表による波紋

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金融庁の金融審議会が、長寿化による人生100年時代に備えて計画的な資産形成を促す報告書をまとめ6月3日に発表しました。

これによれば、年金だけでは老後の資金を賄うことができずに、95歳まで生きるためには夫婦で2000万円の蓄えが必要になるとしています。この報告書の試算の前提は、男性が65歳以上、女性が60歳以上の夫婦の場合は年金収入だけでは月に五万円の赤字になるとしています。

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財務大臣の発言

麻生太郎財務相も6月4日の閣議後の記者会見で「人生設計を考えるときに100歳まで生きる前提で退職金を計算してみたことある?俺はないと思うね」と発言して、さらに不安を大きくする形になってしまいました。(その後、6月7日に表現が不適切だったと釈明しています)

広がる波紋

この報告が大きな波紋を投げかけています。国民視点で見ると少子高齢化に伴って、年金だけでは老後の生活が賄いきれないということは薄々感づいていたものと思いますが、正面きっていきなり2000万円の不足と言われても、宝くじにでも当たらない限りは、今さらどうにもならない場合が多いのも事実です。

野党の反発

6月6日ごろになると、「年金は100年安心ではなかったのか!」と野党が問題視していることが報じられました。「一方では消費税を増税しておきながら2000万円とはどうつじつまが合うのですかね」と反発する声もあがっています。

総合的な政策として国民に伝えるべき

今回は金融庁が資産形成が必要ということを訴える視点だけにたって発表したことが、国民に大きな不安を与えてしまった点で大きな失敗だったのではないかと思います。

人生100年時代を迎えるのにあたって、年金の仕組みを今後どうするのか、何歳まで働くことができるように労働市場を整えていくのか、健康を害してしまった場合はどうするのか等、トータルで国民の耳に届かないと国民は将来が心配になってしまいます。

財政検証への影響

年金財政の健全性をチェックする五年に一度の財政検証が行われています。この結果は少子高齢化が急速に進む現在の情勢の中ではやはり悲観的なものになるものと思われます。

今後に向けて

年金の話題は国民の生活や経済活動に深く関わるものだけに、現在の安倍政権にとってはあまり大きくしたくないのが本当のところでしょう。参議院の決算委員会などでも安倍首相は釈明に追われているようですが、まずは国民が納得できるような総合的な政策についてまとめていくことが大切なことだと思います。

【2019/06/25追記】

エコノミストの記事によれば、年金の100年安心プランは、保険料を引き上げて年金支給額は減らすという「制度の破綻を防ぐ」という意味での100年安心プランだったので、これが国民に対して、「年金だけで老後は安心」とミスリードさせてしまったことや麻生財務相が上から目線で発言したことが問題だという指摘がありました。

今後、少子高齢化が進展する中で手厚い給付を国に頼るのは厳しい状況だと思います。ただ、今更言われてもなんともならないという話しもあるので、今後、年金がどのようになっていくのか気になるところです。

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