給与が電子マネー払いと銀行の存在危機

日経新聞によれば、厚生労働省が2019年にも企業がデジタルマネーで給与を従業員に支払えるようにすることを決めたようです。デジタル化がここまで進んだ現在、いつまでも現金に頼っていくことが適切だとは思えないので、順当な進化なのだと思います。

ただ、今までは労働基準法で規制を受けて、現金で直接受け取るか、または給与振込口座にお金を勤務先から振り込んでもらうことが一般的でしたので、社会に与える影響はとてつもなく大きい改革だと思います。

給与振込はお金の動きの起点

給与振込口座を自分の銀行に作ってもらえることができれば、個人におけるお金の動きは全てがそこが起点となることで、銀行にとっては大きな商売につながることもあって、今までは給与振込口座を自銀行に作ってもらうことが銀行にとっては大きな動きでした。

私自身も入社した際には会社の幹事銀行になっているところが、入社式の会場の外で口座開設の申し込みスペースを開いていて、半強制的に口座を作らざるを得ない状況でした。現在もその口座がメインになっています。

銀行は給与振込口座を確保することで、貸し付けの原資になる預金の獲得、個人向け金融における顧客接点の確保、決済データの取得ができるメリットがありました。

もしも会社から支払われる給与がデジタル通貨になった際は、いったいどんな生活に変わるのでしょう。クレジットカードをはじめとした各種カード類も電子化されると考えると、お財布はもう必要なくなるのが明白です。

このような銀行にとって脅威になる動きに対して、みずほフィナンシャルグループではJコインペイ、三菱UFJフィナンシャルグループではcoinといったキャッシュレスへの参入も表明しています。今の延長で、もしも給与の振込が電子化されたとしても、銀行が提供しているキャッシュレスの仕組みに各企業に利用してもらえる基盤を作っていくのでしょう。

どんな小さな商店でも電子マネーで支払えることにもなるのでしょう。ただ、現金の時には必要なかった手数料をお店側が負担しなければいけなくなるので、もしかすると物の値段が上がってしまうかもしれません。

【2019/07/17追記】

デジタル払い遠のく?

日経新聞に「給与、デジタル払い遠のく」という記事が掲載されました。政府は2019年度の実現を目指していましたが、お金を預かる民間事業者が破綻した場合のすぐにお金が引き出せる仕組みづくりが難航しているとのことです。

【2019/07/19追記】

フジサンケイビジネスアイに「銀行業界、性急な導入牽制」というタイトルの記事が掲載されました。全国銀行協会の理事が記者会見で「賃金は生活の糧。それを預かる枠組みについては安心・安全の面で万全を期すことが重要」と釘を刺したことを軸に記事が構成されています。

ただ、通貨のデジタル化を促進するためには、給与のデジタル払いは避けて通ることができません。労基法は厚労省、賃金移動業者は金融庁と所管が異なることが議論を複雑にしている面があるようですが、ぜひ進めてもらいたい政策です。

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