購入した本が読めなくなる「電子書籍のサービス終了」リスク

2019年4月2日に、マイクロソフトが電子書籍の販売を中止して事業を閉鎖することを発表しました。マイクロソフトは2017年から電子書籍の販売やレンタルを開始していましたが、売り上げが伸びずに結局は事業撤退という形になりました。特に撤退の理由については発表されていませんが、一つは電子書籍のダウンロードができなかったこと、そしてもう一つはシェアが4.4%しかないMicrosoft Edgeブラウザーでしか閲覧することができなかった点ではないかとCOMPUTERWORLD誌では分析していました。

マイクロソフトはユーザーに対しては返金する措置をとることを発表しています。また、コンテンツを購入した代金だけではなく、ユーザーが書籍に付けたメモ書きや印などが消えてしまうため、25ドルを支払うことも発表しています。

これによって、マイクロソフトを介しての電子書籍は全て読むことができなくなり、Kindleなどの別のサービスで同じ書籍の購入手続きを行わなければいけないことを意味しています。

2011年以降、国内だけでも10以上の電子書籍サービスが消滅

実は電子書籍サービスがクローズするのは今回のマイクロソフトが最初ではありません。ダイヤモンドオンラインによれば、2011年以降で日本国内だけでも10以上の電子書籍サービスが消滅しているそうです。電子書籍は扱うコンテンツは他社と同じものになりますし、価格差を付けることも困難、クーポン券などでお得感を演出するのも消耗戦になってしまいます。シェアを大きく握って信頼性が高い会社が優位になってしまいます。

買っているのは所有権ではなくアクセス権

電子書籍でコンテンツを購入したのに、なぜサービスが終了した時点でコンテンツを閲覧することができなくなるのか不思議に感じるところですが、実は電子書籍はコンテンツそのものを購入しているのではなく、コンテンツに参照アクセスすることを許可するアクセス権を購入しているだけに過ぎません。

したがって、自分の端末にダウンロードしたコンテンツも含め、そのサービスが終了してしまうとアクセス権も消滅することから読むことができなくなります。

正直、サービスの消滅とともにコンテンツを楽しむことができなくなってしまうのは、なかなか安心してデジタルコンテンツを購入することができない障壁になってしまいます。これがAmazon kindle unlimitedのようなサブスクリプションサービスであればサービスが終わった際に見ることができなくなるのは消費者としても納得ができます。

しかし、自分で選んだ本や雑誌を単品で購入したものが読めなくなってしまうのは納得しにくい感じがします。

電子書籍に限った話ではなくデジタルコンテンツ共通のリスク

実はこの問題、電子書籍に限った話しではありません。音楽コンテンツ、動画コンテンツ、アプリ等、デジタルコンテンツ共通の問題です。デジタルコンテンツは複製が容易なこともあり、特殊な暗号化やアクセス制限などをせざるを得ず、コンテンツの所有権そのものを販売するのが一般化していないのだと思います。

株式に関する事例

できれば業界団体で協力をして、自社がサービスを続けられなくなった時の保険として、共同センターを立ち上げることは難しいでしょうか。例えば、証券の場合は証券会社が潰れた場合のリスクを回避するために、投資家が購入した株式は証券会社ではなく、「ほふり(証券保管振替機構)」が保管しています。

同様にデジタルコンテンツに関しても、第三者の運営機関を業界に一つ作って、デジタルコンテンツを扱う各社から手数料を支払うことで、消費者の権利を守るような取り組みを実施してほしいと思っています。

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