空き家増加による都市のスポンジ化と対策

エコノミストで空き家問題の特集がありました。実例を踏まえて空き家問題が深刻化していることが紹介されています。最近では地方の空き家だけの問題ではなく、杉並区など東京都の人口が多い地域でも課題になってきています。地方では数百万円をかけて古屋を解体し、隣接している土地の人に無料で土地を引き取ってもらうような取引が行われているようですが、交通不便な地域では、これが東京都内でも行われる可能性もあります。

横須賀市の現状の例

神奈川県の中でも中核市の一つ、横須賀市が人口40万人を割ったことが朝日新聞で特集されていました。坂が多くて高齢者には暮らしにくく若い人は住みたがらないということです。高度成長期に開発された湘南鷹取やハイランドも住民が高齢化し、娘や息子は都心や横浜のマンションに移っていってしまうというと答える人もいるようです。

逆に港北ニュータウンは2008年に開通した地下鉄の新路線によってアクセスが良くなり、路線価は上昇傾向とのことです。IT技術が進展して、場所にとらわれない働き方ができるようになってきたとは言え、やはり通勤や通学に便利な場所が好まれるようです。

政府の対応

2018年7月に都市部のスポンジ化対策として、改正都市再生特別措置法が施行されて、地権者の開発意欲が低く有効利用されていない空き家や空き地を市町村が集約して有効活用できる計画を策定できる制度を作りました。さらに地権者の同意のもと所有権の移転などの登記も市町村が一括してできる仕組みもできました。

また、中古住宅を購入する際に、その家の耐震性や耐久性が判りにくいことから、「安心R住宅」という制度が創設されています。耐震性や建物状況調査の実施、リフォームなどの情報提供が行われた物件に対して、広告にロゴマークを使用することを認める制度です。消費者はこのマークを確認することにより安心して中古住宅を購入できるようになります。

調布市の対策例

東京都にある調布市の空き家対策について調べてみました。調布市と言えば世田谷区に隣接している通勤にも便利な場所ですが、どの程度空き家問題が深刻化しているのか調べたくて選びました。

すると、やはり空き家問題は深刻化しているようで、調布市では平成29年4月から「空き家施策担当」を設置したほか、専用のページを立ち上げて対策をしています。

空き家等対策 | 調布市
空き家等対策

空き家で困っている市民のための相談窓口もあるので、まずは所有している空き家のある地域の自治体に問い合わせてみても良いかもしれません。

今後の空き家増加について

日本が少子高齢化のサイクルに突入した以上、出生率が大きくはね上がったり、外国人の移住者が増えたりといったことがない限りは、空き家は増えていく一方です。

国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(平成29年推計)によれば、2010年前後が人口のピークでは2020年には1995年ころの人口と同じ高さになっています。2030年では1憶2000万人を割り込み1985年頃の人口と同じ高さでした。昭和30年代からの高度経済成長と逆向きに人口が減っていくことになります。

人口が増えていくときは、いわゆるベッドタウンなどを大規模に開発して受け皿作る対策が行われてきましたが、人口が減っていく局面では局所的にポツンポツンと空き家が増えていって、いわゆるスポンジ化と言われる状態が進んでいきます。自治体にとってみれば、スポンジ化が進んでしまうと、まとまった対策を取りにくいので、人口が増えていた時代よりも対策が難しいのではないかと思います。

今でも駅から離れた地域の大規模なマンションや宅地の造成が行われていますが、まずはこのような開発を規制して、空き家の流通を促進するような施策を強化しなければいけないのではないかと思います。

【2019/09/03追記】

週間エコノミストに過疎化で消滅するベッドタウンという記事がありました。今では駅からの距離は徒歩7分以内が求められているそうです。これを超えると持ち家、賃貸ともに急速にニーズが減退するということですので、やはり消費者が立地を強く意識していることは明らかです。

共働きの世帯にとっても空間や居住快適性よりも時間に高い優先順位があるということで、やはり立地に関心が向く方向にあります。通勤時間を少しでも短くしたいという気持ちが強いのでしょう。

都心部から30キロから40キロ圏内かつてのベッドタウンはこれから課題が表面化すると記事では警告をしていました。この課題を乗り越えるために、埼玉県の毛呂山町では20年後に公示地価を10%以上上昇させるという目標を掲げて、居住区域に住宅を誘致して人口密度を保ち、同時に投資を呼び込むことに取り組んでいるそうです。

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