「音楽を耳元に届ける」という招待状とiTunes Music Store

2003年4月28日にアップル社がカリフォルニア州のサンフランシスコ、Moscone Convention Centerで発表会を開きました。招待状には「音楽を耳元に届ける」と書かれていたそうです。

iTunesの登場

発表会ではスティーブジョブズがステージの上に立ち、iTunesとiTunes Music Storeを発表しました。このころはCDが全盛でCDには特に暗号化技術が採用されていなかったことからデジタル情報をリッピングして違法なサイトに公開されているようなアングラな状況がまかりとおっていました。したがって、デジタル化された音楽データも何か暗いイメージがまとわりついていました。

当時のデジタル音楽コンテンツ

既に音楽データをダウンロード販売する正規販売のサイトは存在していました。しかし違法なコンテンツが流通している状況であったため、著作権を無視したコンテンツの流通を防ぐために、正規のダウンロード販売では著作権管理技術による制約が非常に厳しく、購入したコンテンツを複数のパソコンで聞いたり、CD-Rにコピーしたりといった行為が一切できませんでした。

Appleの取り組み

従って、Apple社としてはもう少し利用者が使いやすくなるように制約を緩和する方向で動いています。もっとも調整が難航したのは、権利を持っているレコード会社の存在です。当時、大きな5社のレコード会社に対して調整を進めました。最初はレコード会社は既存のDRM技術で十分という認識があったため難しい交渉を強いられたようです。さらには6000を超える独立系のレーベルとの交渉も進めていきました。1年余りの歳月をかけて交渉を進めたそうです。

ITMSのサービス

iTunes Music Storeは、下記のサービスを提供しました。

・5大レコード会社の20万に及ぶ楽曲
・すべての曲を無料で30秒間試聴可能
・サービスの加入料は一切不要
・1曲当たりの値段は一律99米セント
・購入した曲は3台のパソコンで再生可能
・同じ曲順のままで10回までCDに書き込み可能

iTunes Music Storeで購入した楽曲は基本的にiPodに連携して持ち歩くことになります。ほかの音楽プレーヤーとの間では同期をとることができません。これが音楽業界にとっては一つの安心材料になったそうです。

これから

Appleは音楽の配信事業とメディアプレーヤーで大きなシェアもっと、それまで圧倒的な強さを誇っていたSONYのWALKMANシリーズですら影を潜めてしまう結果になりました。その後。携帯電話を再定義した形でiPhoneが開発されて、iPodの機能はiPhoneのアプリとして実装されるようになりました。

その後、iPadやApple watch、Apple Payなど関連する分野で事業を広げていますが、今のところはiPodやiPhoneが誕生したときほどの驚きを社会に与えるところまでにはなっていません。

これから先、Appleが社会に変革を通して感動を与え続けることができる会社になるのか、凡庸な会社になっていくのか、大切な帰路に立たされているのではないかと思います。

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