日本航空の過去最大規模の赤字と社員500人の外部出向

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日本航空は10月30日に2021年3月期の純損益が2400億円から2700億円の赤字になりそうだと発表しました。赤字の原因は新型コロナウイルスの感染拡大により航空機を利用する旅客が激減したためです。旅客が減っても最低限の便は維持しなければいけないほか、飛行機、労務費等の固定費はかかり続けるので、損益分岐点を大きく割り込んだものと思います。

今まで最大の赤字幅は日本航空が2010年1月に経営破綻した際の、2009年4月から12月までの9ヶ月間で1779億円の赤字を経常した際のことになります。それよりも1000億円近く大きな赤字幅です。

一方、すでに全日空(ANA)は業績予想を発表しており、2021年3月期決算で純損益が5100億円の赤字になるとされています。日本航空はこの全日空の赤字幅よりは少なかったことになります。

今回驚いたのは、宅配便大手のヤマトホールディングスや官公庁、教育機関など10の企業や団体に500人あまりの社員を送り出していることが報じられた点です。このように業績が厳しいときには、どの企業も希望退職者を募ってリストラをすることが多いと思うのですが、新型コロナウイルスの感染が収束した後のことを見越して他企業等への出向という道を模索したのは凄いことだと思いました。きっと、他の企業で実務をやった社員の皆さんは日本航空に戻った後に発想の幅や人脈が広がることで、日本航空のビジネス展開をする上で大きく貢献するのではないかと思います。

出向中の賃金は受け入れ先の企業等が負担しますが、所属元の賃金水準に達しない場合には日本航空が穴埋めする仕組みです。成果主義であれば、その社員の人の業績等によって給与は変動すると思いますが、出向先の企業と日本航空の間でどのように調整しているのか、その仕組みをしりたいです。

日本航空が今回社員を出向させるという社員を大事にすることと固定費を圧縮する、そして戻ってきてもらったら、より上の貢献をしてもらえるようにするという策をとったのは、やはり経営破綻後に会長として就任した稲盛和夫さんの思想が息づいているためでしょうか。非常に興味があります。

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