地方銀行が地域のGDPを上げるため高級旅館に挑戦

NHKのニュースサイトを読んでいると、奈良県の南都銀行が「県のGDPを10年間で10%(3500憶円)増やす」という経営目標を掲げたことが取り上げられていました。まるで、自治体が立てた目標のようにも見えます。

このプランは名付けて、「なんとミッションと10年後に目指すゴール」です。もともとは、2014年に「活力創造銀行」を10年間の経営ビジョンとしていましたが、マイナス金利が導入されたこと等に伴って想定以上に経営環境が変化していることから再び10年間の経営計画を策定した形になります。

そして、このGDPを10%増やす目標の打ち手の一つが高級旅館の経営です。地方銀行が高級旅館を経営するというのは、奇抜なアイディアのような気もしましたが、実はよく練られたプランなのではないかと思います。

そもそもの、中長期経営計画策定の経緯を探ってみました。南都銀行では2019年にプランを策定した時点で、このプランの目標は、

・地域を発展させる
・活力創造人材を生み出す
・収益性を向上させる

の3点を柱としています。この地域の発展の目指す具体的なゴールが奈良県実質県内総生産を2016年度比+10%の3500憶円増加させるというものです。奈良県のGDPは2006年が3.6兆円だったのにたいして、2016年度は3.5兆円とさがっています。これを2026年度には3.9兆円とする計画です。

まだ、2019年にプランを発表した時点では、旅館経営の話しは出てきていないので、その後の2年間の検討の中で出てきたアイディアなのでしょう。今までの銀行はリスクの低い立ち位置でお金を貸した人にリスクをとってもらうスタイルでしたが、今回は銀行もリスクを取る形にしていることが特徴です。銀行では「奈良みらいデザイン株式会社」を立ち上げて、地域の課題解決のために動き始めました。国の規制緩和が進んで銀行が金融以外の事業に参入できるようになったことも一つのチャンスになったそうです。

奈良県には観光名所がたくさんあるので、宿泊する人も多いイメージがありますが、実は全国で最も少ないのだそうです。大阪や京都から日帰りで来ることができる距離にあるためです。この点に着目してこのエリアに宿泊施設を作り地域に賑わいを創出する仕組みを作ろうと動き始めました。すでに旅館の候補地も築100年余りの吉野町の古民家を選定し、宿泊者をあまり多くせずにゆったりと過ごすことができる施設を作る形で進めています。

地方銀行であればその地の有力者の方々とのつながりも強いので、このようなゆっくりと過ごすことができる施設は相当の需要がありそうな気がします。宿泊業そのもののノウハウは専門の会社からコンサルタントを受けているようですが、銀行の皆さんの接客姿勢などは旅館にも通じるところがあるのではないでしょうか。

今後の地方銀行の在り方の一つとしてとても興味深い内容でした。

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