自治体システムの標準化に対する日経DXの記事の愚かさ

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最近の日経DXに掲載されるIT系の記事は物足りないと思うことが多くなってきました。国策などをけなしてばかりで、どうやれば成功するのかということを本気で考えていない記事が多いためです。

最近公開された「木村岳史の極言暴論!」では自治体システムの標準化がやり玉にあがりました。2025年度末までに約1700の地方自治体で使用されている基幹システムを標準仕様に準拠したシステムに移行するのが自治体システムの標準化です。住民基本台帳や国民健康保険などの20の基幹業務で使用するシステムの標準仕様書が公表されています。

このプロジェクトがうまくいかない理由として、政令指定都市などの大規模な自治体では、業務を実現するうえでのプロセスがそれぞれ違っていて標準仕様書に合わせることができない、すなわち民間の企業でERPに業務のやり方を合わせると宣言して導入しようとしたものの、現場部門の激しい反対にあって結局はたくさんのカスタマイズをせざるを得なくなるのと同じだと指摘しています。

提言としては、スバルと同じように、「全く同じことはできないにしても、自治体システム標準化でも参考になるかと思う。スケジュールありきで進める前に、一度立ち止まって自治体の担当者を一堂に集め、業務のムダを明らかにしたほうがよい」としています。

ただ政令指定都市のような大きなところは、その組織の作り方や窓口の業務等、差異が大きいところが多々あるので、大きな自治体の話しはひとまず置いといて、小さな自治体の議論を先に進めた方が良いのではないかとも思います。

極言暴論の中でも自治体の大きさ別に提供する仕様書を松竹梅に分けることが推奨されていますが、この中で小さな自治体の方の共通化を先行させる案です。小さな自治体であれば、さほどたくさんの窓口に分割されていることもないほか、既存の周辺システムとのインタフェースで頭を悩ませる心配も少ないように思います。

本来は同じ業務を実現しているはずの自治体のコンピューターシステムがバラバラになってしまっているのは、やはりお金の無駄遣いにつながってしまう可能性が高いです。国がマイナンバー事業を促進するにつれてワンストップ化が進んでいくと、各自治体のシステムもそれぞれを直さなければいけなくなってしまいます。

これから先、人口が減少していく中で、各自治体も利用できる予算に限りが生じてきています。できれば前向きに自治体システムの標準化の議論が進むと良いと思っています。

 

 

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