最近よく聞く「線状降水帯」とその予測に関して

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最近、線状降水帯という言葉をよく聞くようになってきました。普通であれば雨雲が発生しても、風の流れとともに雨の区域は移っていくので、同じ場所で長時間にわたって豪雨が降る可能性は低かったのですが、線状降水帯と言われる現象のもとでは、次々と発生する発達した雨雲が列をなした積乱雲群が発生する事象を指しています。

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気象庁における線状降水帯の定義

気象庁では下記のように定義しています。

次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域を線状降水帯といいます。

Wikipediaによれば、1990年代から日本の集中豪雨発生時に線状の降水域がみられることがしばしば指摘されていました。その後、平成26年8月豪雨により広島市で大規模な土砂災害がが発生した以降、線状降水帯という言葉が報道でも取り上げられるようになりました。

線状降水帯が発生しやすい場所

1995年から2009年まで台風を除く集中豪雨261事例の地域別分析結果で線状降水帯の事例は以下のように分布しています。

北日本 25事例
東日本 38事例
西日本 45事例
南日本 60事例

北よりも南の方が線状降水帯の発生事例数は多くなっています。

線状降水帯の発生予測

2021年から気象庁では「顕著な大雨に関する気象情報」の発表基準を満たすような線状降水帯による大雨の可能性が高いことが予想された場合、半日程度前から気象情報において「線状降水帯」というキーワードを使って呼びかけることとしています。2021年からは「顕著な大雨に関する情報」を発表しています。

2022年6月1日からは線状降水帯による大雨発生の可能性が高い場合には、線状降水帯による大雨となる可能性を半日程度前から気象情報において呼びかける「線状降水帯予測」の運用が始まりました。

また、気象庁は頻発する線状降水帯による大雨災害の被害軽減のために産学官連携で世界最高レベルの技術を用いた線状降水帯予測を開始しています。

見逃しの可能性は

NHKが2022年6月1日に配信した「線状降水帯予測始まる “見逃し”確率や“的中率”は」という記事によれば、全国単位で的中率は2回に1回程度、地方単位で4回に1回程度とのことで、現時点ではまだまだ正確な予測は難しいのが実情です。線状降水帯予測が発表されていない場合でも各地の気象台や自治体が発表する情報に注意する必要があります。

<h2>今後の計画

線状降水帯の発生メカニズムは未解明な点も多く、正確にどこでいつ発生するかを予測することができません。今後も気象庁をはじめとする各研究機関では線状降水帯に対する研究が続けられます。目標としては、令和6年度からは県単位で、令和11年度からは市町村単位で予測して発表するための研究や技術開発が進められています。

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